自動車のナンバープレートの左上に表示される「地名」。
他の情報が数字のせいか、「横浜」や「なにわ」といった地名がパッと目に入ってくるかもしれません。
仕事や旅行などで住んでいる地域とは違う場所を訪れたときに、いつも見る地名とは異なるナンバープレートを発見することは楽しかったりします。
反対に、新型コロナウイルスで人の移動が制限されているときに、車をみて違う県から来ていると心配する人がいるといったニュースもあります。これもナンバープレートに地名が表示されているゆえのことですね。
この地名ですが、どのように決められているかご存知ですか?
本記事ではナンバープレートの地名について、ご当地ナンバープレートなど様々な情報をお届けします。
車を使用する本拠地で決まるナンバープレートの地名
ナンバープレートの地名は希望で選ぶことができません。
ではどう決まるのか?
それはズバリ、その自動車の登録名義人が「使用する拠点」となる地域の名前となります。
この拠点とは、車庫証明書の「使用の本拠の位置」欄に記載されている住所を指します。
もっと詳しく言えば、その拠点を管轄する運輸支局、もしくは自動車検査登録事務所の「所在地」ということになります。
もともと、都府県の頭文字(福岡の”福”など)が地名となっていたものの、1964年、自動車登録台数の増加によって現在の運輸支局もしくは自動車検査登録事務所によるものに基準が変更になりました。
全国各地には運輸支局および自動車検査登録事務所が多くありますが、それぞれは複数の市区町村をまとめて管轄する形になっています。
関東を例にとってみてみましょう。
関東運輸局には東京都、神奈川県、埼玉県、群馬県、千葉県、茨城県、栃木県、山梨県の運輸支局があります。
そこからまた地域で分かれていきますが、群馬運輸支局だけは群馬県全域をカバーしています。
では、東京都をみてみます。
東京都には、以下の運輸支局および自動車検査登録事務所がありますが、どの市区町村を管轄するかと合わせて紹介しましょう。
1つの運輸支局、4つの自動車検査登録事務所に分かれ、島嶼部(とうしょぶ)を含む東京都のすべての地域をカバーしています。
東京運輸支局
千代田区、中央区、港区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区、大島支庁、三宅支庁、八丈支庁、小笠原支庁
足立自動車検査登録事務所
台東区、墨田区、江東区、荒川区、足立区、葛飾区、江戸川区
練馬自動車検査登録事務所
新宿区、文京区、中野区、杉並区、豊島区、北区、板橋区、練馬区
多摩自動車検査登録事務所
立川市、武蔵野市、三鷹市、府中市、昭島市、調布市、町田市、小金井市、小平市、東村山市、国分寺市、国立市、狛江市、東大和市、清瀬市、東久留米市、武蔵村山市、多摩市、稲城市、西東京市
八王子自動車検査登録事務所
八王子市、青梅市、日野市、福生市、羽村市、あきる野市、西多摩郡
自分の使用する車がどの管轄になるか調べるには、国土交通省「全国運輸支局等のご案内」が便利です。
該当する地域をクリックし調べることができます。
国土交通省ウェブサイト「全国運輸支局等のご案内」
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr1_000034.html
軽自動車のナンバープレート交付は?
さて、軽自動車のナンバープレートですが、これは軽自動車検査協会で交付されることになります。
軽自動車検査協会は一般的に運輸支局および自動車検査登録事務所と同じ地区を管轄していることから、地名も同様の扱いとなります。
運輸支局および自動車検査登録事務所がない地域の場合でも、それ以外の地名を設定していることはありません。
このことから、拠点となる地域から離れた地名のナンバープレートが交付されるケースがあります。
ご当地ナンバープレートとは?
「ご当地ナンバープレート」とは「新たな地域名表示ナンバープレート」の通称であり、地方独自の地名を定められるようした国土交通省の新たな制度です。
この名の通り、これまでにあった地名に新規追加をする形でより多くの地名が選択肢に加わります。この制度の目的は地域振興や知名度アップです。
皆さんも記憶にあるかもしれませんが、「湘南ナンバー」が誕生し、大変な人気になりました。1994年のことです。
登録申請には整理券が出るほどの盛り上がりになりました。
湘南が加わったことで、神奈川県には4種類のナンバーがあります。
横浜ナンバー・川崎ナンバー・相模ナンバー・湘南ナンバーです。
さて、この制度に該当するには以下の条件に当てはまることが必要です。
- 当該地域の自動車の登録数が10万台を超えている
- 当該地域名が全国的にみて相当程度の知名度を有している
- 読みやすく、覚えやすいとともに、すでにある地名と類似し混同を起こすことのないもの
”わが地名もナンバープレートにしたい”という動きが活発になった結果、これまで2回、新しい地名の交付がありました。
第一弾41地域 2018年10月1日
盛岡・岩手・平泉・仙台・山形・庄内
土浦・つくば・前橋・越谷・成田・柏・世田谷・杉並・富士山(山梨)
新潟・長岡・富山・金沢・石川
福井・富士山(静岡)・豊田・春日井
滋賀・京都・奈良
鳥取・福山・下関・山口
徳島・香川・愛媛・高知
長崎・佐世保・熊本・大分・宮崎・鹿児島
第二弾17地域 2020年5月11日
知床・苫小牧
弘前・白河
松戸・市川・船橋・市原・江東・葛飾・板橋
上越
伊勢志摩・四日市
飛鳥
出雲
高松
これまで、もっとも文字数の多い地名は「尾張小牧」(愛知県)の4文字でしたが、今回の交付によって「伊勢志摩」(三重県)が誕生したことで並んだことになります。
ご当地ナンバープレートを申し込む流れ
ご当地ナンバープレートを申し込むときでも、該当の車の本拠を管轄する運輸支局、もしくは自動車検査登録事務所の「所在地」というルールに変わりはありません。
申し込み方法は、以下のウェブサイト「図柄ナンバー申込サービス」を利用することになります。または、ディーラーや行政書士などにもご相談できます。
「図柄ナンバー申込サービス」:
https://www.graphic-number.jp/html/GKAA0101.html
ご当地ナンバープレートの導入地域では、交付開始日以降ならいつでもナンバープレートの変更をすることができます。
好きな地名のナンバープレートを選ぶ方法
ナンバープレートの地名はご当地ナンバープレートであっても希望で選ぶことができないということを述べました。
しかし、どうしてもつけたいという地名があるときはその方法がないわけではありません。
自動車は「所有者」と「使用者」を区別して登録することが可能です。
そこで所有者は自分自身として、使用者を希望の地名がある地域に住んでいる親戚や知人がいれば使用者として登録。
すると、希望の地名が入ったナンバープレートを得ることができます。
そういった人の協力を得られるのであれば、自分が引っ越しをするより気軽に申請ができます。
他には、その地域に別宅をもつ、企業であれば支社を作るという方法もないわけではありません。
ナンバープレートの地名まとめ
- ナンバープレートの地名は希望で選ぶことはできない
- 地名とは車の拠点を管轄する運輸支局、もしくは自動車検査登録事務所の「所在地」である
- 国土交通省「ご当地ナンバープレート」で新規の地名が増えている
- 車の使用者を別に登録することで希望する地名を選ぶことが可能である
新車・中古車の購入時、または車のナンバープレートを変更するタイミングなどで、国土交通省ウェブサイトでどのような地名があるのか調べてみると楽しく、自分のナンバープレートについてさらに興味がでるかもしれませんね。