車のエンジンをかけた瞬間に聞こえる「ガガガ」というイヤな音。
または「カチカチ」と軽い感じの音がして、エンジンがかからない、、、
こんな焦る経験をしたことがありませんか?
この状態になるにはもちろん原因があり、異音に気づき対処することが事故リスク回避などに重要です。
そこでこの記事では、「ガガガ」と「カチカチ」といった異音が起こる原因、そして対処の方法について解説します。他の様々な異音についても紹介しますのでぜひご参考にしてください。
車のトラブル – 異音はなぜ起こる?
なんのトラブルもなく安全に走行できることが当たり前とは言え、定期的な検査が必要とされる自動車。
そこで車検(自動車検査登録制度)が義務付けられています。
新車を購入したときは3年後、それ以降は2年ごとに検査をするというルールがあります。
車検を受けないで走行すると「無車検車運行」として、厳しい刑事罰の対象になるほど重要です。
しかし、きちんと車検を受けている自動車でもトラブルを100%避けることはできません。
そんなときのため、多くのドライバーはロードサービスの会員登録をし対応できるようにしています。
異音が起こる状況には大きく以下が考えられます。
- エンジンをかけるとき
- 走行中にアクセルを踏んだとき
- ブレーキを踏んだとき
- アイドリング時
- エンジンルームを洗車した後
そして、異音が起こる出どころには以下が考えられます。
- エンジン
- 足まわり
- トランスミッションまたはギヤ
- 排気系
エンジンの異音に気づく大切さ
一言で異音といっても様々な音があります。
車のエンジンをかけると「キュルキュルキュル」という音がします。この音が正常と言えるものです。
しかし、それ以外の音(=異音)がするときがあります。
ガガガ、カチカチに始まり、カリカリ、カンカン、キンキン、ガラガラ、ゴロゴロ、キーン、ガタガタ、バラバラなど様々です。
ひとつひとつの異音は上述した出どころとその原因によって異なります。
自動車が何か異音を発するときには、それを敏感に察知しましょう。
気づかないで走行を続ければ場合によっては、重大なトラブルが発生してしまうことにつながります。
さて、「ガガガ」と「カチカチ」といった異音が起こるのは何が原因なのでしょう。
エンジンがかからない!「ガガガ」音
まずは「ガガガ」音からみていきましょう。
臭いが無くこの異音がする場合は、高い確率で「バッテリー上がり」が原因だと考えられます。
何らかの理由があって、バッテリーに蓄えられていた電池が少なくなり、供給量を下回ってしまう状態です。
日中の暖かい時間帯ならエンジンがかかるときがあっても、寒い季節にはそれさえも起こらなくなるというように気温が影響する場合もあります。
ガガガと音がするうちは、モーターを回転させようとするだけの電気が多少でもまだバッテリーに残っているということです。
エンジンがかからない!「カチカチ」音
「カチカチ」という異音の原因もバッテリー上がりと考えられます。
「ガガガ」という音がしているうちはまだ幾らかの電気がバッテリーに残っている可能性があります。
しかし、バッテリーが完全に放電し切ってしまうと、ガガガという音すらせず、カチカチという音になります。この場合は、完全放電になっている状態と言えるのです。
このことから、車のエンジンがかからない大きな原因はバッテリー上がりであり、その異音は「ガガガ」から「カチカチ」へ変わっていくと考えられます。
バッテリー上がりが原因でセルモーターに影響
バッテリー上がりのとき、セルモーターの音も変わります。
セルモーターとは、エンジンを始動させるためのモーターのことを言います。
エンジンをかけようとすると「キュルキュルキュル」という音がありますが、あれがセルモーターが回転している音です。
当然、セルモーターが動かないとエンジンもかかりません。
このセルモーターはバッテリーを電源としており、バッテリー上がりだとエンジンがかからないのもこの仕組みゆえなのです。
「ガガガ」や「カチカチ」といった異音はセルモーターが正常な音を鳴らしていない状態と言えます。
異音「ガガガ」「カチカチ」の対処方法とは?
「ガガガ」と「カチカチ」といった異音がバッテリー上がりが原因の場合、その対処方法は同じものになります。
①バッテリーを使いすぎない
普段からヘッドライトや室内灯の消し忘れに注意します。また、エンジンが停止した状態でエアコンを使うこともバッテリーの電力が使われるため気をつけたい点になります。
②バッテリー液の点検、冷やさない
バッテリー液はバッテリーの内部に入っている液体です。この液体が化学反応を起こすことによって、放電と充電が繰り返されます。
月に1回程度で、バッテリー液の液面が最高液面線と最低液面線の間にあるかを確認し、適量あるかどうかの点検をします。
また、バッテリー液が冷えてしまうとバッテリーが上がってしまうことがあります。寒い地域、季節には車のボディカバーを利用するなどして保護することで対処します。
③必要時だけでなく車を走行させる
バッテリーは充電せずに走っていると減っていきますが、エンジンを始動し走行している間は発電機によって充電されていきます。
雨風のひどいときだけ車を使うなど、普段それほど走行しないドライバーもいますが、そういう間にも自然放電しています。
車を走らせればバッテリーが充電されていくことを意識し、長い間乗らない時間を作らないようにすることをおすすめします。
たまには長距離ドライブを楽しむようにすると充電もかなりされます。
④バッテリーの寿命を把握する
バッテリーには寿命がありますが、それがどの程度かご存知ですか?
一般的には2年~3年と言わています。寿命近くになったり越えてしまうと急にエンジンがかからなくなることがあります。
これを避けるためには愛車のバッテリーがいつ寿命になるのか把握し、それ以前に交換をすることで対処します。
⑤ブースターケーブルやジャンプスターターを用意する
バッテリーが上がったときにブースターケーブルで他の車からバッテリーを充電する方法、ジャンプスターターという外付けのバッテリーから充電する方法があります。
いつでも使えるようにこれらを車に装備しておくと安心です。
以上から、バッテリーの使いすぎを避け、寿命にならない前にバッテリー交換をするなど状態を管理することで、エンジンがガガガ、カチカチという音を立ててかからなくなることを避けられることが分かりました。
オルタネーター(発電機)の確認も重要なわけ
もうひとつ、大切な対処方法を紹介します。
それがオルタネーターの確認です。
オルタネーターとは、発電機です。エンジンの回転をオルタネーターに伝達することで発電することができます。
発電された電力はそのまま走行するために使われると同時に、バッテリーの充電も行なわれます。
ゆえに、オルタネーターが故障すればバッテリーの充電も停止となります。
オルタネーターが故障しているかどうかは、バッテリー警告灯が点滅しているかどうかが見極めのヒントとなります。
オルタネーターにも寿命があり、1990年代の車であれば走行距離10万km、2000年代以降の車は20万kmが目安と言われています。
バッテリーを交換しても、オルタネーターが劣化または寿命の場合はバッテリー上がりが起こることがあります。
このことから、バッテリーとオルタネーターをしっかりと定期点検することが重要ということになります。
「ガガガ」「カチカチ」以外の異音を解説
それでは、ガガガやカチカチ以外の異音、可能性のある原因と対処方法についても解説をしていきましょう。
走行中など状況別にみていきます。
※異音は多少主観的な表現が含まれることをご了承ください。
走行中の異音
- キンキン・カンカン
この異音ではオーバーヒートの可能性があります。
オーバーヒートとはその名のとおり、エンジン自体が熱くなりすぎて冷却性能を超えてしまう、この状態を指します。
異音には変化があり、オーバーヒートはカリカリという音で始まり、キンキンまたはカンカンという音がするようなら最悪の状態です。突然停車となることもあり、そうなれば事故のリスクにつながります。
対処方法:車をすぐに止められる場所を見つけ、完全に停車させます。そしてロードサービスなどにすぐに連絡し、サポートを呼びましょう。
- ゴロゴロ
アクセルを踏むときにゴロゴロと低い異音があるときは、コンロッドメタルやクランクシャフトといったエンジンの金属の部分がオイル不足で摩擦して溶け出している可能性があります。
この異音が聞こえたら、すぐに走行を止めないでいるとエンジンの破損というリスクがあります。
対処方法:ロードサービスなどにすぐに連絡し、サポートを呼びましょう。
- ゴグーン
車が段差があるところを走行すると多少の音がするのは当たり前かもしれません。ショックアブソーバーは車が走行中にこういった衝撃や振動を吸収するサスペンションですが、異音がする場合はオイル漏れにより正常に働いていない可能性があります。
対処方法:サスペンション周りにオイル漏れがないかの確認、または整備工場などでショックアブソーバーが劣化していないか点検してもらいましょう。
走行中、アイドリング時の異音
- ガラガラ・カラカラ
この異音ではウォーターポンプの故障が考えられます。すべての車のエンジンは水冷式と言って、冷却水をエンジン内部に循環させています。
ウォーターポンプはこの働きで重要な役目を持ち、エンジンに近い位置から冷却水を送り続けます。そのため、ウォーターポンプはエンジンがかかってから停止するまで常に回転しています。すると、回転する軸にあるベアリング部分が劣化してくることがあります。
ガラガラまたはカラカラという異音が聞こえたらオーバーヒートを考慮し、ガーといった連続音に変わったらすぐにエンジンを停止しなければ危険です。
対処方法:早急に整備工場などで点検してもらってください。
- バラバラ
走行中にエンジンの回転数を上げるとバラバラとこもった感じの異音がすることがあります。原因はマフラーの腐食や破損による排ガス漏れが考えられます。マフラーは音の低減そして排ガスを抑制する働きがあり、有害な排ガスを無害なものに転換するため色々な部品で構成されています。
対処方法:整備工場などで一度点検、修理してもらってください。
- キュルキュル
走行中にエンジンの回転数を上げるとキュルキュルと聞こえることがあります。これは、ベルト類が緩んでいることなどに原因があります。そのため、このキュルキュルという異音は”ベルト鳴き”と呼ばれています。
ベルトが緩むことでエンジントラブルなど危険なリスクになります。
対処方法:エンジンルームを開け、ベルトに亀裂が入っていたら交換時期、亀裂が無くても5年以上使っている場合も交換の目安になります。
整備工場などで一度点検、交換してもらってください。
- ゴー
タイヤ付け根部分にあるハブベアリング類が消耗していたり、パワステフルードがオイル漏れなどで足りない状態になっている可能性があります。
ハブベアリングは車体の重量を受けるため相当頑丈に作られているものの、何万km、何十万kmと走行しているうちに消耗していきます。
減速中にゴーと音がする場合はブレーキパッドが磨耗し、最終的に裏金の部分がディスクに当たり削られます。そのため、ブレーキを踏むとゴートかなり大きな音がするようになります。
対処方法:整備工場などで一度点検してもらってください。
ブレーキを踏んだときの異音
- キーキー
寒い時期にこの異音が鳴る可能性が高くなります。
また、ブレーキパッドは徐々に摩耗していき、ブレーキ鳴きと呼ばれるキーキーといった異音が鳴ります。これはパッド横の金属プレートがローターに接触する音で、交換時期がきたと言えます。
対処方法:ブレーキを使えば使うほど磨耗する消耗品であることから、整備工場などで新しいものに交換することになります。
エンジンからの異音
- バスンバスン
点火プラグのひとつでも点火せず、シリンダーが作動しないと走行中にこの異音があります。
また、エンジンルームを洗車した後にプラグコードやイグニッション系が濡れてしまうとこの異音が発生することもあります。
対処方法:整備工場などで一度点検してもらいましょう。
車のエンジンがかからない時の異音まとめ
車の異音と言っても、とても多くの音があることが分かりました。
バッテリー上がりなどドライバー自身で対処できるもの、事故につながるリスクのあるものまで様々です。
何かの異音が聞こえたら、すぐに点検、そして修理をすることが重要です。