車に乗るのに乗り物酔いが不安という人がいます。または同乗する家族が酔いやすいという場合もあります。
車酔いは本当に辛いものですね。
酔ったという過去の経験がトラウマになることがあります。
また酔ってしまうのではと心配すると、こういった精神的なものも車酔いに大きく影響します。
しかし、車の酔いは原因と防ぐ方法を知ることで軽減することができます。
この記事では、「動揺病」と呼ばれる車酔いの症状とメカニズム、原因、そして防ぐ方法を紹介します。
楽しいドライブのため、ぜひご参考にしてください。
車酔いの症状とは?
顔がみるみるうちに蒼くなり、吐き気をもよおす車酔い。
本人も苦しいですし、見ているほうも辛いものです。
しかし車酔いする人は大変多く、珍しいことではありません。
症状ですが、いきなり吐くといったものではなく、酔いはその前兆として初期症状から始まるといった段階があります。
初期症状として、生つば、生あくび、めまいがあります。
これらが悪化していく過程で、冷や汗をかく、顔面が蒼白になっていく、そして胃の不快感や吐き気をもよおすなど変化があります。この段階になるとかなり辛くなっているでしょう。人によっては頭痛が起こることもあります。
車酔いの最終段階は嘔吐です。嘔吐が続くことによって、脱水症状を引き起こすこともあり注意が必要です。
このような辛い症状が出始めると、車という密室で逃げ場がないといった不安な気持ちが高まってしまい悪循環となってしまうのです。
なぜ、人は車に酔ってしまうのでしょうか?
次では、そのメカニズムに迫ります。
車酔いが起こるメカニズムを解説
酔いはあらゆる乗り物の加減速、回転、そして揺れから起こる動揺刺激によって起こるため「動揺病」とも呼ばれます。
耳・目・脳がこれらの刺激を受けることになります。
人間の体には平衡機能が備わっています。この機能によって、体が前後または左右に揺れても一定のバランスを保つようコントロールできるのです。
この平衡機能をつかさどるのは耳の奥にある内耳の前庭部で、リンパ液に満たされた三半規管、そして炭酸カルシウムの結晶をもつ耳石器(じせきき)です。
三半規管は回転を、耳石器は直線加速を感知して刺激を脳に伝えます。このことで体はバランスを保とうとするのです。
しかし、動揺刺激が強すぎたりしてコントロールの限界を超えると、自律神経に失調が起こってしまいます。
そして目。周囲の状況を把握する視覚がバランスをとる役目を担っています。この刺激があまりにも強かったり、長時間だったりすると平衡機能障害をきたします。
これらによって自律神経の失調をきたすことになり、結果、吐き気など車酔いの症状が現れるのです。
さらに、過去の経験がトラウマになり、ストレスなどによる精神面での不安が車の酔いを引き起こすケースもあります。
それでは、車の酔いを引き起こす原因をみていきましょう。
車の酔いを引き起こす原因とは?
原因が分かると対策を講ずることができます。
ここでは、車酔いの原因にはどのようなものがあるか確認します。
- 体調が悪い
車に乗るとき、体調不良ではありませんか?
疲れが溜まっていたり寝不足だったりでなんとなく体調が悪い、または風邪を引いているなど外出をキャンセルするほどではないけれど本調子でない、こんなときは酔いやすくなります。 - ドライバーの運転が荒い
ドライバーによっては、荒い運転をする人がいます。急に発進したり、スピードの出し過ぎや急停車など、これらによって車が激しく振動します。こういう車に乗っていると気分が悪くなってしまいます。 - 温度や湿度など車内環境が悪い
車内の温度や湿度が高すぎたり、換気が悪かったりと空気が淀んでしまうとこれも酔いの原因になります。食べたり飲んだりしてその臭いがこもってしまうこともありますね。窓を少し開けておく、クーラーで調整するなど意識する必要があります。 - 本を読んだり、スマホを使う
目的地へ着くまでの時間を車内でどう過ごすか考えるとき、読書をしたりスマホをチェックしたりゲームをする人がいます。スマホの利用は多くの人に心当たりがあるのではないでしょうか。運転中の振動があるなかでこのような行為をすると平衡感覚を失って酔いを誘発します。 - 心理的なストレス
すでに述べたとおり、過去の経験から「また車に乗らなければならない。きっと前回のように酔ってしまうだろう」と不安な気持ちが沸き起こります。すると負のサークルが起こり車酔いに影響してしまうのです。
ここまでお読みいただき、車酔いはかなり辛いものだということが確認できました。
しかし、防ぐ方法があることも事実です。
車酔いを防ぎたい、その対策とは?
事前に対策を知っておくことで多くの人が車酔いを防ぐことができます。
乗車する前と車内でできることに分けて紹介しましょう。
<乗車前にできる対策>
- 睡眠をしっかりとる
前日は睡眠時間をしっかり確保しましょう。一般的には6時間~7時間と言われます。 - 体調を整える
特に遠出する場合は体調を整えることが大切です。体調不良であれば休養をしっかりとって回復させ、やむを得ない場合はキャンセルも考えます。 - 直前の食事に注意する
車に乗る直前に食べたり、食べ過ぎたり、逆に何も食べずにいると酔いを誘発します。食べたら30分ほど時間を空けてから乗車するようにします。 - ゆったりとした衣類を選ぶ
車内で窮屈にならないよう衣類はゆったりとしたものを選び、圧迫感から吐き気をもよおさないよう気を付けます。また、ベルトも絞めないようにします。 - 酔い止めを飲む
もっとも効果的な方法として、酔い止めの薬があります。抗ヒスタミン作用と副交感神経遮断作用とありますが、それぞれの酔い止め薬の用法をしっかりと読み、正しい使い方をしてください。
一般的には乗車の30分前に服用します。薬を飲んだという安心感も酔わないようにするために有効です。 - エチケット袋を用意する
万が一、嘔吐してしまうことを考え、エチケット袋を用意します。飛行機に搭乗するとコンパクトなエチケット袋がありますが、こういったものをドア内側のポケットに用意することで素早く使えるとともに精神的な安心感をもたらします。
<車内でできる対策>
- 振動の少ない座席を選ぶ
車酔いを防ぐ大きなポイントとして、平衡機能障害を防ぐ方法が有効です。体の振動を最大限に避けるために乗用車なら助手席、大型バスであれば前輪と後輪の中間部に座れば揺れが少なくおすすめです。 - 姿勢をよくし、遠くの景色を見るようにする
背中を丸めて座ると胃に負担がかかります。姿勢よく座り、遠くの景色を見るようにします。バスなどでは後ろ向きに座らないようにしましょう。走行中に景色が変化しすぎると自律神経が失調してしまうからです。 - 車内ではなるべく動かない
座る姿勢も大切ですが、座ったらなるべく動かないようにします。特に目と耳のある頭はヘッドレストに置いて固定します。
後部座席を見たり、バッグから物を取ったり、何気に行なう動きによって頭を動かすと平衡機能障害が起こってしまいます。
目を閉じて視覚の刺激を受けないようにすることも有効です。 - 食べ物・飲み物に注意する
車内で食べ過ぎはよくありませんし、みかんなど柑橘類も避けましょう。柑橘類は胃酸の分泌を促し、車酔いを誘発します。飲み物も刺激の少ないものを選びます。 - 適時、窓を開けて換気をする
飲食の臭い、ガソリンの臭い、車内はいろいろな臭いが溜まりがちな空間です。それらを避けるために芳香剤がありますが、苦手な匂いであれば逆にストレスになります。窓を開けたりするなど、換気を意識して気分が悪くなることを避けましょう。
車に酔ってしまったら?
いくら対策をしても、体調や状況によって酔ってしまうことがあります。
即座に車から降りられればそれが一番ですが、高速道路など急に止まれない場合はリクライニングを倒し、頭が揺れないようにします。
氷水を飲んだり、可能であれば氷を口に含むと、その刺激が自律神経を整えます。
吐き気をどうしても抑えられない場合、最後はエチケット袋を使い嘔吐すると大抵の場合は落ち着きます。
吐いてもいいんだというくらいの気持ちでゆったり構えましょう。
車酔いは対策できる
車酔いは目や耳から入る刺激により平衡感覚がコントロールできずに自律神経に失調が起こる変化ということが分かりました。
乗車前、そして乗車中にできる対策が多くあります。
しかるべき対策をし、あとはリラックスするようにしてドライブを楽しんでください。