くっきりとした赤の縁取りがあるナンバープレートを見たことがありますか?
ナンバープレートはプレートや文字の色が違ったりと様々ですが、赤枠のついたものはパッと目に入ってくるためなんだか注意を引く意味がありそうな感じを受けます。
そして、赤色が使われているナンバープレートには他に赤の斜線が入っているものもあります。
さて、これら赤枠や赤斜線はどういった意味を持つのでしょう。
この記事では赤枠や赤斜線を取りあげ、それらが何を意味するのか、どんなときに使われるのか解説します。
どんな車がこれらをつけるのか知って違反を起こさないようにするとともに、ナンバープレートに関わる知識をもうひとつ増やしてみませんか?
ディーラーナンバーと仮ナンバーの違い
赤枠または赤斜線が入ったナンバープレートの話にいく前に、「ディーラーナンバー」そして「仮ナンバー」について解説しましょう。
ディーラーナンバーとは?
ディーラーとつく名前から察することができる通り、車を扱う業者が許可を受けて得るナンバーで、ディーラーナンバーとは「回送運行許可番号標」の略称です。
ディーラーナンバーを取得することは業者にとって大きなメリットがあります。
車検の切れた車、未登録の車は法律上、公道を走行することができないのは皆さんもご存知でしょう。
ところが車検を受けに行く、登録に行くなどの理由で車を移動させる必要があります。
そこで、業務として多くの車を扱う業者がディーラーナンバーを扱う許可を取得することになります。
道路運送車両法 第三十六条の二(回送運行の許可)を紹介しましょう。
「自動車の改装を業とする者で地方運輸局長の許可を受けたものが、その業務として回送する自動車(以下「回送自動車」という。)で、次に掲げる要件を満たすものを、当該許可の有効期間内に、当該回送運行許可証に記載された目的に従つて運行の用に供するときは、第四条、第十九条、第五十八条第一項及び第六十六条第一項の規定は、当該自動車について適用しない。」
引用元:e-gov法令検索
第四条は登録の一般的効力、第十九条は自動車登録番号表の表示の義務、第五十八条第一項と第六十六条第一項は自動車検査証について述べている法律です。
公道での走行は登録して有効なナンバープレートをつけることが義務であるものの、ディーラーナンバーを取得していればこの法律が適用されないということになるのです。
ディーラーナンバーは次の4つの利用範囲で申請、使用することができます。どれも、あくまでも業務に関わる目的となります。
- 製作(自分で製作した車を工場からテストコース、依頼者までなど移動するとき)
- 陸送(依頼者によって別の場所へ移動依頼があるとき)
- 販売(販売する車を移動させる、モーターショーなどへ移動させるとき)
- 分解整備(車検のために自ら分解整備をした車の引き取り、引き渡し、車検場まで移動させるとき)
許可を得る条件として、申請直前の3ケ月に該当の台数を取り扱った実績などが求められます。
許可が認められた際には複数の自動車に使うことができるため、大幅なコスト削減と時間の短縮というメリットが挙げられます。
仮ナンバーとは?
次に、仮ナンバーをみていきます。正式には「自動車臨時運行許可番号標」と呼ばれ、ディーラーナンバーとの違いは一般ユーザーが借りることができるナンバープレートだという点です。
次のようなケースで必要となります。
- 検査や登録の申請のため、車を陸運支局や軽自動車検査協会に移動させるとき
- 検査や登録の申請のため、整備工場へ移動させるとき
- ナンバープレートの紛失・盗難に遭い、再交付の手続きをするとき
仮ナンバーについては道路運送車両法 第三十五条(許可基準等)が適用されます。
「前条の臨時運行の許可は、当該自動車の試運転を行う場合、新規登録、新規検査又は当該自動車検査証が有効でない自動車についての継続検査その他の申請をするために必要な提示のための回送を行う場合その他特に必要がある場合に限り、行うことができる。」
引用元:e-gov法令検索
この臨時運行には5日という有効期間があり、有効期間が満了したときにはその日から5日以内に返納するという義務があります。
また、申請時に車を回送させるルートを提示し、これ以外を走行することができませんのでそれ以外を走行しないよう注意する必要があります。
さて、ディーラーナンバーは業者のため、そして仮ナンバーは一般ユーザーのため、条件に合う正当な理由がある際に一時的なナンバープレートが発行されるということがご理解いただけたと思います。
そして、この違いが赤枠や赤斜線という話しに繋がっていきます。
赤枠は「ディーラーナンバー」赤斜線は「仮ナンバー」
車検切れなどの正当な理由があるとき、申請をすることで一時的なナンバープレートが発行されます。
そのナンバープレートがディーラーナンバーか仮ナンバーかによって、以下のように割り当てられ識別します。
- ディーラーナンバー →「赤枠のナンバープレート」業者用
- 仮ナンバー →「赤斜線のナンバープレート」一般ユーザー用
車検の有効期限が切れていたりナンバープレートがなくなった車でもこのナンバープレートによって、道路運送車両法「回送運行の許可」を得ている証明になり、公道を走行することができるのです。
仮ナンバーの取得方法
ここからは一般ユーザーが仮ナンバーを必要とするときに備え、取得の方法を紹介しましょう。車検が切れてしまったというケースが一番考えられるでしょう。
仮ナンバー対象車は、普通自動車、小型自動車、軽自動車、大型特殊自動車そして小型二輪です。
仮ナンバーの申請は所轄の区役所や市役所といった行政機関ですることになります。そのため、土日祝日はお休みになります。
持参するものは、車検証や抹消登録証など自動車を確認できる書類、印鑑、身分証、運行する前日まで期限が残っていれば自賠責保険証明です。
車検切れになった車は自賠責保険の補償期間も切れていることがほとんどです。自賠責保険が切れている場合は加入をしてから申請を行わなければいけません。
また、すでに触れましたが、車を移動させる先、そしてそこへ行くまでの経路の届け出も必要です。
手続きは以下です。
- 行政機関の窓口で「仮ナンバーの申請」をしたい旨伝える
- 自動車臨時運行許可申請書に必要事項を記入する
- 用意した書類、運転免許証、手数料(750円)を窓口に提出する
- 即日で赤い斜線が入った仮ナンバーが交付される
仮ナンバーには最大でも5日という短かな有効期限が設定されています。交付を受けたら、その日のうちに車検を受けに行くことをおすすめします。
仮ナンバーの返却が遅れたら
返却がない場合は、道路運送車両法で定められた罰則が適用されることがあります。
道路運送車両法第35条第6号に違反した者として、同台108条により、6か月以下の懲役または30万以下の罰金に処せられることがあります。
車検の整備などが長引きいた場合でも延長はまず認められません。いったん返却して再度申請する手続きが必要です。
仮ナンバーでどこでも走れる?
仮ナンバーの運行経路はかなりシビアです。
申請時には詳細にルートなどを記載する必要があります。また、仮ナンバーを借りた場所(地区)は必ず経路に含まれていなければいけない。などのルールも定められています。
違反しても誰も見てないだろう・・・と思う方もいるかもしれませんが、万が一走行中に警察に止められた場合に発覚してしまいます。
仮ナンバーの使用用途
仮ナンバーの取得は、検査や登録または盗難時の車の移動の際に申請・発行されるものです。
車検が切れてるけど、1日だけドライブしたい。引っ越しに使いたい。などの理由では取得できません。
赤枠や赤斜線のナンバープレートまとめ
ディーラーナンバー →「赤枠のナンバープレート」
仮ナンバー →「赤斜線のナンバープレート」
これらのナンバープレートの目的は、車検切れやナンバープレートを紛失したときなど正当な理由があるときに一時的につけることで公道を走れるようにすることです。ディーラーナンバーや仮ナンバーがあれば、車検を受けたり、新しいナンバープレートを得るための移動ができます。
車検と自賠責保険が期限切れの状態にもかかわらず公道を走行した場合、違反点数は12点、80万円以下もしくは1年6ケ月の懲役、プラス90日間の免許停止処分という大変重い罰則の対象となります。
車検切れにならないようにすることは当然ですが、切れてしまった場合、またはナンバープレートが無い状況では本記事で紹介した仮のナンバープレートを申請、交付を受けるという正しいやり方があることをぜひしっかりと覚えておくようにしましょう。