セルが回らないので車のエンジンがかからない。その原因と対処法は?

セルモーターが回らないとき、いくつかの原因が考えられます。
そして、それらの原因によって車のエンジンがかからないというトラブルに発展してしまいます。
このようにセルモーターはエンジンと深く関わっていることから、知識を得ることでトラブルを回避することができます。

そこでこの記事では、セルモーターの役割、エンジンとの関わり、セルが回らない原因と対処の仕方まで詳しく解説します。
この機会にぜひ車についてもうひとつ理解を深めていきましょう。

目次

セルモーターの役割とは?

セルモーター

車内に乗り込みエンジンをかけようとした聞こえる”キュルキュルキュル”という最初の音、これがセルモーターが起動するときの音です。

セルモーターの役割はズバリ、「エンジンを動かす」ことです。
セルモーターが回転することによってエンジンを動かし始めるための初動が起こり、英語ではスターターモーター(Starter Motor)と呼ばれるくらいです。

セルモーターは起動のための電動機であることから、いったんエンジンがかかるとその責任を果たしたと言えます。
その所要時間は長くても30秒ほどであり、セルモーター自体が故障することはそれほどありません。

”セル”と短縮して呼ばれることのあるこのモーター(電動機)が、車の走行のために重要なものだと分かります。
当然、セルモーターが正しく働かなければエンジンがかからなくなってしまいます。

エンジンと関わるセルモーターの働き

エンジンをかけるためのセルモーターはどのように働くのでしょう。

まず、エンジン回転の仕組みから確認します。
以下、4行程が繰り返されます。

  1. 呼気 – ピストンが下降して呼気バルブが開きます。
  2. 圧縮 – 呼気バルブが閉じ、ピストンが上昇します。
  3. 燃焼 – 燃料が燃焼することによって、ピストンを下に押します。
  4. 排気 – ピストンが上昇して排気バルブが開きます。

空気と燃料を混合させた状態のもの「混合気」に火花を飛ばし爆発させることから得るエネルギーを動力に変換するといった流れが起こっています。

次に、エンジン回転を起こす初動にセルモーターがどう関わってくるか一般的なパターンをみていきましょう。

  1. セルモーターがエンジンのシャフトを回転させます。
  2. エンジンはシャフトの回転によって呼気、圧縮行程を行ないます。
  3. エンジン始動が起こります。
    呼気や圧縮には回転力が必要ですが、その回転力はセルモーターによって与えられているのです。

セルモーターとエンジンの関係がイメージできましたか?
ここからはセルが回らない原因を解説していきましょう。

セルモーターが回転しない3大原因

セルモーターが回転しない=エンジンがかからないというトラブルには以下の原因が考えられます。

  1. セルモーターの寿命
  2. バッテリー上がり
  3. バッテリーの寿命

次ではそれぞれを詳しくみながら、対処法も紹介しましょう。

①セルモーターの寿命

セルモーター自体が故障することはそれほどないことを上で述べました。
しかし、消耗品であり寿命があります。

セルモーターの寿命は使用年数や走行距離が目安になります。
使用年数なら10年~15年、走行距離なら10万km~15万km(最新モデル車は20万km)。
短距離走行や車を走行させる頻度が高いとセルモーター回転の回数が増えますし、アイドリングを頻繁に繰り返せばその分、寿命も短くなります。
使用年数か走行距離のどちらかが達したら交換することでトラブル対策ができます。

なお、費用ですが新品で3万円~15万円です。金額の違いはエンジンの大きさによるセルモーターの種類や性能によるところとなります。
新品でなく、リビルド品と交換する方法もあります。新品同様の製品保証が付くこと、費用が安くなることなどメリットがあります。

使用頻度が低いセルモーターですが、近年はアイドリングストップ機能がある自動車が増えています。
信号待ちなどでエンジンがストップし、ブレーキペダルを離すと動きを自動で感知し、自動でエンジンを書ける仕組みです。

実は、エンジンを自動で再始動するとに使われるのがセルモーターです。
この機能が付いている車種は、他の車と比較するとセルモーターの使用頻度がかなり多くなります。

オルタネーター(発電機)をセルモーターの代わりとして使う方法など、モーターの負担を減らす工夫もされてはいますが、アイドリングストップ機能がある自動車はセルモーターへの負担が他よりも大きいことを覚えておきましょう。

②バッテリー上がり

セルモーターはバッテリーの電力を使ってシャフトを回転させます。
これによって、エンジンの起動が起こります。
このためバッテリー上がり=電気がない状態ではセルモーターが動かず、よってエンジンがかからないのです。
バッテリー上がりの状態でエンジンをかけるとセルモーターの回転音も比例して弱くなります。

車のエンジンがかからないとき、高い確率でバッテリー上がりが原因のケースがありますが、セルモーターにとってもバッテリー上がりは本来の働きができない原因となるのです。

そこで、バッテリー上がりを解消してセルモーターに十分な電力がいくようにしなければなりません。
普段からライトの消し忘れなどバッテリーの無駄遣いをしないようにすることはもちろん、車を走行させることで乗っていない時に起こる自然放電以上の充電をするといった意識も必要でしょう。
それでもバッテリー上がりが起こってしまうときがあります。その場合は、ブースターケーブルやジャンプスターターを用意しておき、外からの充電を行ないます。

③バッテリーの寿命

バッテリーの寿命は一般的には2年~3年と言われています。
バッテリー上がりの状態ではバッテリーに多少の電力が残っていることもあります。しかし、寿命が切れた状態ではセルモーターの回転音も聞こえず、電力もないということになります。
寿命がくる前に交換をすることが対策となります。

セルモーターは回るけどエンジンがかからない原因

セルモーターは回転するものの、エンジンがかからないというトラブルもあります。
この場合は、以下を疑ってみてください。

シフトレバーがパーキングに入っている

オートマ車は誤発進を防ぐ安全面から、シフトレバーがパーキングレンジあるいはニュートラルレンジに入っている状態ではエンジンがかからないようになっています。
シフトレバーの位置確認をしましょう。

ハンドルロックされている

盗難防止のためのハンドルロックがかかるとステアリングを回すことができなくなります。この状態では、ハンドルが回らないだけでなく、エンジンをかけようとしてもキーも回せなくなります。
ロック解除は、ハンドルを左右に動かしながらイグニッションキーを同時に回すことでできます。

スマートキーの充電が少ない・切れている

スマートキーもしくはインテリジェントキーなどキーレス車で、リモコンが電池切れということがあります。この場合、エンジンももちろん起動しません。
スマートキーの電池の寿命は1年~2年です。毎年、誕生日月には電池交換をするなど決めておくと、トラブル回避になるでしょう。

セルモーターを叩くと直る?

キーを何回まわしてもセルモーターが回転しない、ライトは点灯するのでバッテリー上がりではないらしい、、、
そこで、セルモーターの本体を棒で直接ガンガンと叩くとエンジンがかかるという話があります。
セルモーター内部のパーツが噛み合ってエンジンがかかることがあるのです。
セルモーターはエンジン始動のためのものであり、エンジンがかかれば走行することは問題ありません。
しかし、エンジンを停止すれば次はまたかからない可能性があります。
走行できるうちに整備工場などへ直行し、修理や交換することをおすすめします。

セルが回らないのはバッテリー上がりの確率が高い

セルが回らずエンジンがかからないときには、まずバッテリー上がりを疑ってみてください。
バッテリーが上がっていないのに、セルモーターが回転しないようであればセルモーター自体の故障を考えます。
この時点でエンジンがかかリませんので、ロードサービスを呼ぶことになります。
なお、セルモーターを棒で叩くと一瞬エンジンがかかることもありますが、必ず整備工場などで点検、修理または交換をするようにしてください。

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