運転免許の取得は仮免許証の交付後、本免許取得試験を受け合格するという手順になります。
そのため、学科試験と技能試験があるということは多くの方がご存知でしょう。
これらの試験は自動車教習所で教習を受けた後に受けることになりますが、実はその前にひとつ行なわれることがあります。
それが「適性検査」です。
この適性検査はどんな種類の自動車の免許取得にも含まれるテストです。
教習所に入校するとまず行なわれますが、基準に達していなければ教習に進むことができない重要なものです。
適性検査では安全運転をするためにいくつかのチェックが実施されます。
初めて免許を取ろうとしている方は特に、事前に知っておくことで心構えをすることができるのではないでしょうか?
この記事では適性検査について概要や検査の内容、そして検査を受ける際の心がまえなど詳細を解説します。
適性検査とはどんなテスト?
適性検査は運動適性検査のことを言い、免許を取得しようとする人が必ず受ける検査です。
安全に運転するために、免許を取得しようとするドライバー自身が状況を判断する力や自分の性格を事前に知るという目的です。
「ハンドルを握ると性格が変わる」という話しを聞くことがあります。
普段は穏やかだと思われている人がハンドルを握るとスピードを上げて走行するというパターンが多いと思います。
これは車という特別な空間がそのままドライバーにとって非日常の空間に変化すること、そのような車内では一気に本音を出せる空間化するといった理由があるようです。
しかし、運転は自分だけでなく周りへの大きな責任もある行動です。
憧れる車やバイクに乗る夢を実現するだけでなく、いかに安全に走行できるかが最重要事項です。
そこで学科試験や技能試験という技術的なことだけでなく、ドライバーの適性を知るための適性検査が行なわれるのです。
「警察庁方式K型」と「OD式安全性テスト」の概要
適性検査には「警察庁方式K型」と「OD式安全性テスト」という2つの種類がありどちらかが使われます。
両テストは事前準備をしなければならない難しい問題ではなく、心理テストまたはIQテストのような捉え方をすれば良いでしょう。
警察庁方式K型
検査項目は7つ。運動行動をチェックする項目6つと性格をチェックする項目1つの組み合わせで、所要時間は約30分です。
運転するときにどのような癖があるのかチェックし、ドライバー自身に気付きを与えることができます。
OD式安全性テスト
OD式安全性テストは1967年に開発され、現在まで使われているテストです。。運動機能、健康・成熟度、性格特性、運転マナーをチェックします。ここから、4つの運転タイプと88の性格に分類し適性を総合的に判断します。
このテストも所要時間は約30分です。
警察庁方式K型か、OD式安全性テストかですが、教習所などがどちらを採用するか決めるため、自分で選択することはできません。
適性検査に合否はある?
基準に達していなければ教習に進めない適性検査。
検査の結果は合否なのでしょうか?
結論を言うと、合否ではありません。
この検査に不合格として落ちることはありません。
自分の適性を知り、注意すべき点などを把握した上で何より安全な車の運転ができるようにすることを目的としているからです。
しかし、この検査の各項目における条件をクリアしなければ教習に進めないという面も知っておくべきでしょう。
検査の結果、評価に大きな偏りがあるようであれば、再検査を受けることになる可能性があります。
それでは、ここからは警察庁方式K型とOD式安全性テストに分け、それぞれの内容についてみていきましょう。
警察庁方式K型の項目をチェック
この適性検査では、A~Kの項目があります。
A~Dまでは10段階、E~Jまでは5段階、Kには25段階の評価があり、運動行動と性格がチェックされます。
以下、それぞれの項目がどのようなところをメインに判断するものか紹介します。
A 状況判断力
B 動作の正確性
C 動作の速さ
D 衝動抑止性(落ち着いているか、そそっかしいか)
E 神経質傾向
F 回帰性(気分の安定度)
G 感情高揚性(調子に乗りやすいか)
H 攻撃性
I 非協調性
J 自己顕示性
K 情緒安定性
それぞれ数字が大きいほど良い結果になり、以下6つのタイプに分類されます。診断された人が心がけるポイントと一緒にみてみましょう。
- 状況判断が遅い人
→ いろいろな状況が起こることを見抜き、適切な行動をとるように心がける。 - 動作は早いけれど正確さに欠けている人
→ 周囲の状況に気を配りつつ、一呼吸おいて行動をすることを心がける。 - 神経質な傾向がある人
→ バランスよく周囲に気を配りながら、リラックスして運転をするように心がける。 - 気分の変わりがある人
→ 気分が沈んでいるときはなるべく運転を控え、気分転換をして気持ちを高めてから運転をするように心がける。 - 攻撃的な傾向がある人
→ 相手に譲る、思いやる気持ちを忘れないように運転するように心がける。 - 自己中心的な傾向がある人
→ 自分の行動が他の人に迷惑をかけていないかどうか、振り返る癖をつける。
OD式安全性テストの項目をチェック
さて、OD式安全性テストのほうですが、こちらは以下4つの観点をみるテストです。
検査員が読みあげる質問に対し、「はい」「いいえ」で答えていきます。
・運動機能
・健康度と成熟度
・性格特性
・運転マナー
これら4つの観点から4つの運転タイプに分類します。心がけるポイントともに紹介します。
- 安全運転タイプ
→ 自分の考える安全を過信せず、様々な事態を想定して運転する。 - もらい事故傾向タイプ
→ 複合操作が必要な場面での運転には充分に注意する。 - 重大事故傾向タイプ
→ 自分の運転技術を信用しすぎない。 - 事故違反多発傾向タイプ
→ 細心の注意を払って運転する。
適性検査は正しく受けるためには?
この適性検査は、ドライバー本人が安全運転をするためのアドバイスを得るための大切なテストです。心理テストまたはIQテストのようなものと述べましたが、30分間真剣に取り組む必要があります。
①検査員の説明をしっかりと聞きましょう。
適性検査は簡単な質問がほとんどですが、いくつか複雑な問題もあります。
事前に担当検査員から内容の説明がある場合がほとんどです。回答方法や間違った場合の訂正方法などの説明もあるのでしっかりと聞くようにしましょう。
これらを間違えてしまうと、検査結果に影響が出る場合があります。
正確に答えるために、検査員の説明で分からないことがあればそのままにしないようにしましょう。
②落ち着いて適性検査を受けましょう。
適性検査は、ある程度のスピードを持って解答していきますので、集中力も求められます。
検査員の「始め」「止め」の合図に従い、7項目の試験が行われ制限時間があります。
時間がなくなるのでは?と焦る気持ちが出るかもしれませんが、適性検査は答えの合否ではなくハンドルを握った時のあなたの傾向をチェックする検査です。
一つ一つ丁寧に答えるようにしましょう。
③質問や問題には正確に答えましょう
良い結果を出そうとするために正直に答えないやり方は適性検査を受ける意味がありません。
また、問題には自分を良く見せようとしているのか判断するような内容のものもあり、逆効果になってしまいます。
適性検査は正直に、正確に答えることが正しい態度と言えるのです。
運転免許を取得するときに受ける適性検査には、これまで紹介してきた運動適性検査以外にも視力検査・聴力検査もあります。
運転免許を取るのに必須の適性検査
適性検査は運転免許を取得するための第一歩と言えるテストです。このテストによって、ドライバー自身が状況を判断する力や自分の性格を事前に知ることができます。
自分の運動機能や性格が運転にどう現れるのか知り、事故のリスクを下げることが大きな目的と言えます。
最近、あおり運転が大きな社会問題になっていますが、一部の人が犯す危険な行為です。しかし、上で述べたように、車という特別な空間がドライバーにとって非日常の空間に変化するという研究もあります。
どんな人でも自分のことを知って、意識を変えることが安全運転につながります。
安全運転のための適性検査を正しく受けること、フィードバックを真剣に受け止めることが大切ということをお分かりいただければ幸いです。