経済的な負担が小さくない車の税金。一般的には一括の納付が求められます。
自動車税は年に一度の支払いですが、納付時期は5月ということからお子さんのいる家庭では新学年の準備後、そして多くの人にとってはゴールデンウィークに行楽でお金を使った直後というタイミングです。
計画的に車の税金を用意しなければ、納付に困ることになってしまいます。
そんなとき、1回の支払いを少なくできる分割払いがあると助かるなという人もいるでしょう。
そこでこの記事では、「自動車税を分割で支払うことができるのか?」というテーマで情報をお届けします。
分割払いができるケース、できないケース、分割にできる正当な理由、そしてどのように手続きをすべきなのか、様々な角度から解説しましょう。
自動車税の簡単な概要
自動車税は都道府県に払う税金であり、納付先は各都道府県の税事務所です。
納税者は、毎年4月1日時点で車を所有する人です。
税額は自動車の種別、排気量等ごとに決められ、グリーン化による特例税率が設けられています。これは排出ガス性能および燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車が対象です。
逆に、登録から13年を超える車には増税が課せられます。
例えば、人気車種のひとつであるトヨタ・スープラは排気量が3リットルですが、2.5リットル超~3リットル以下のカテゴリーに入りますので1年の税額は51,000円(2019年10月1日以降登録は50,000円)です。
自動車税を支払うまでの流れは以下になります。
- 車の所有者に5月初旬に「納税通知書」が都道府県から郵送される。
- 車の所有者は都道府県に指定される納付期限内(5月末日など)に納付をする。
※5月31日が週末に当たる場合は翌日月曜が支払い期限となります。
自動車税を延滞するリスク
自動車税を延滞、滞納すると大きなリスクが発生します。
自動車税を含むすべての税金は納税者の義務ということが憲法で定められています。税を納めない人がいれば、公平性に欠けるためです。そのため、納税のためにはある種の強制力が必要とされています。
納税通知書を紛失してしまったりと、うっかり支払いを忘れてしまうこともあるでしょう。
しかし、そのまま放置するとリスクがどんどん大きくなっていきます。
リスクには督促状が届いたにも関わらず納付をしないと延滞金がかかったり催告状が届くといった段階から、もっと恐ろしいものまであります。催告状は差し押さえになる最後の警告とも言えます。その後、銀行口座の差し押さえ、自動車や家まで差し押さえという大きなトラブルに発展していってしまいます。
ところがまとまったお金が無く、自動車税を一括納付することが困難な場合があります。
このような状況を避けしっかり納税するための方法、それが自動車税の分割払いです。
自動車税を分割で支払えるケース
自動車税を分割で支払うためには、正当な理由が必要です。
収入や医療費など、自動車税を一括納付することが難しい状況を都道府県の税事務所が承諾すれば分割払いが認められます。
まず、以下のような明確な理由があるかどうかご確認ください。
- 失業し収入がない
- 求職中で収入がない
- 病気療養や育児出産で医療負担の割合が高い
- 事業の経営に関し、資金繰りがうまくいっていない
- 災害に見舞われた、財産が盗難にあった
- 納税者が病気や怪我をした
- 事業を休止または廃止した
このようなやむを得ない事情はどんな人にも起こり得ることではないでしょうか?
なお、軽自動車にかかる軽自動車税ですが、自動車税と比べ税額が低く設定されています。このことから軽自動車税の分割払いは基本対応されていません。
自動車税を分割で支払えないケース
自動車税の分割払いには正当な理由が必要であり、以下のようなケースでは認められません。
- 一括納付より分割を希望する
- 他でお金が必要なので自動車税は分割にしたい
- クレジットカードのポイントが欲しいので分割にしたい
など。自身の都合では分割にすることはできないということになります。
自動車税を分割払いにする手順は?
納税通知書を受け取ったら、5月末(都道府県によって6月末)までが自動車税の納付期限です。
上で紹介したような正当な理由があって分割を希望する場合には、どういう手順で手続きをすればよいのでしょう。
まずは、各都道府県の税事務所に連絡を取ります。
お住まいの税事務所を訪れ窓口で話をすることもできますが、電話1本で分割の相談をすることができるので便利です。
電話を入れたら自動車税の分割払いの相談と伝え、しかるべき担当者につないでもらいます。税事務所への連絡は早ければ早いほうが良いでしょう。
税事務所からは、自動車税が納付期限までに支払えない理由の他、月にいくらであれば払えるか、いつまでに完全に納付できるかが質問されます。
あらかじめ、毎月いくらなら支払いが可能か計算してから電話を入れます。
毎月の支払いはあまり小さい金額にすると却下されてしまう可能性があります。常識的に考え、3回程度で完納するような相談をすることをおすすめします。
前出のトヨタ・スープラの自動車税51,000円を3回の分割にすると一月17,000円、4回分割なら12,750円です。
分割であれば、払える金額になっていくのではないでしょうか。
分割払いが認められ、月の支払い金額から納付回数が決まると、後日改めて納付書が送付されます。
一部の都道府県ではクレジットカードでの分割払いを受け付けています。この場合、ポイントが付与されるとは言え、手数料がかかります。
注意(1) 分割でトータルの金額が高くなる
分割で自動車税を支払えると安心する反面、納付回数が増えることで延滞金が発生する場合があります。
この場合、一括で納付する負担からは免れるものの、トータルで考えると割高になる可能性があります。
注意(2) 分割払いの途中では車検が通らない
自動車税を納付すると自動車納税証明書が発行されます。
車検時にはこの納税証明書の提出が必要だったところ、2015年4月から不要になりました。
しかし、これは紙の納税証明書を見せなくて良くなっただけであり、国土交通省陸運局と都道府県税事務所の間でオンラインで納税されたかを確認することができます。
ところで自動車税を分割で支払っている期間、納付は完納されていないという扱いになります。
従って、分割払いが完了していないうちは車検を通すことができません。なお、車検が切れているのに車を走行させるのは違法行為であり、罰則と罰金、違反点数や免許停止の行政処分が定められています。
このトラブルを避けるためにも、自動車税を分割にしたい場合は車検の時期を考えることが重要です。
延滞金が発生しない8月までに納付をするという方法
毎年5月初旬に送付される納税通知書。この通知書をもとに、5月末に納付をすることになります。
自動車税を納付しないでいると、6月末くらいになると督促状が送られてきます。さらに支払いを延滞していると7月末頃に催告書が送付されます。催告書は差し押さえの最後通告ですが、納付期限が2021年の場合は8月4日。
催告書に記載されている納付期限がキーポイントになります。というのも、この期限までは延滞金が発生しないのです。
納税通知書が届いて5月末の期限から8月4日までで2ケ月ちょっとあります。この時間を自動車税のためのお金を貯める期間にすることができるということです。
頭からこの3ケ月をあてにすることはおすすめしませんが、都道府県によってはこの方法をアドバイスされることもあります。
ポイントは8月の期限までに完納することができないと分かった時には早々に税事務所に連絡をすることです。そして、分割の相談をすることで悪質なケースではないと判断されるでしょう。
車の税金を分割払いまとめ
自動車税は収入面や医療面など、正当な理由があれば分割払いができます。分割することでトータルの支払い金額がアップになる可能性があること、車検の時期までには完納しておくなど注意点があります。
普段から車の税について関心、意識をして一括納付できるようにすることは大切です。しかし、やむを得ない理由があれば分割で支払えるということを知っておくことで大変な時期のストレスを多少軽減できることになるのではないでしょうか。